ビザ(入国査証)とForm I-94(出入国・滞在記録カード)との違い 船曳ビザ事務所

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『ビザ(入国査証)とForm I-94(Stay Permit /出入国・滞在記録カード)との違い』

作成者:ビザコンサルタント・ 船曳信行

作成日時:2023年7月

私は、アメリカ大使館(東京)とアメリカ総領事館(大阪・神戸)の両方で、アメリカビザの仕事に32年間従事しました。

「アメリカビザ」は、「アメリカへの入国査証」です。それでは、この「入国査証(ビザ)」とは、いったいどういう意味なのでしょうか?「ビザ」という言葉は専門用語です。法律の定義では、この入国査証(ビザ)は、アメリカへの「入国を許可する」とか「滞在を許可する」という証明ではありません。入国査証(ビザ)とは、ただ単にアメリカへ入国するための「推薦状」にすぎません。つまり、アメリカへ入国するために必要ないくつかの書類のうちのひとつにすぎないのです。しかしながら、有効で正しい入国査証(ビザ)を持って入国を申請すると、入国が許可になるのですから、入国査証(ビザ)は入国許可と「ニアリー・イコール」と言うこともできます。

昔は、非永住者のための「アメリカビザ」はゴム印でパスポートに押印されていました。私が勤務を開始した当時は、チェックライターという機械でビザスタンプをパスポートに押印していました。十数年前から現在まで、「アメリカビザ」は、コンピューターによっていろいろな情報が入力・処理され、「ビザ・シール」という形で印刷され、パスポートに貼られています。

もちろん、あなたが(この場合のあなたとは、留学生とか研究者という非永住者のことですが)アメリカへ入国したい時、空港での入国審査にパスしないと入国は許可されません(ごくまれですが、入国査証(ビザ)、I−20、DS−2019などを持っていても、入国を拒否されることがあります)。入国審査官があなたの入国を許可した場合、入国審査官はForm I−94(Stay Permit / 出入国、滞在記録;以下は、書式I−94と省略)にあなたの「在留資格(ステイタス)」と「在留期限」を記入します。アメリカに滞在している間は、絶えずこの書式I−94が有効な状態であることを確認してください。

くりかえしますが、入国査証(ビザ)というのは、アメリカ大使館のビザ担当領事が発行する入国の推薦状なのであって、決して入国許可ではありません。実際にあなたのアメリカへの入国を許可し、アメリカでの在留資格と在留期限を決めるのは、空港の入国審査官(イミグレーション・オフィサー)なのです。領事と入国審査官が所属している組織は全く別です。領事は国務省に所属し、入国審査官は国土安全保障省に所属しています。そして、入国審査官があなたの書式I−94に与えるのは在留資格(在留許可)であって、在留資格をビザとは法律上は言いません。

ところで、新聞・テレビ等のマスコミ報道や旅行案内本など世間一般では、この在留資格を証明する書式I−94と入国の推薦状である入国査証(ビザ)を、同じように「ビザ」とほとんど無意識に呼でいます。このような理由で、アメリカ入国査証(ビザ)を申請する人々の間で混乱が生じています。この際、あなたのビザに対する認識をリフレッシュしてください。

さて、あなたがアメリカに滞在しているかぎり、入国査証(ビザ)を気にする必要はありません。なぜなら、あなたは既にアメリカに入国しているからです。ビザは入国をするために必要な書類なのですから。しかしながら、あなたが注意する事は、書式I−94です。この有効期限が切れていたりすると、たとえ不注意であっても「不法滞在(オーバーステイ)」になります。その場合、できるだけ速やかにアメリカから出国しなければなりません。そして必ず日本に帰国し、新規に入国査証(ビザ)を取り直さなければなりません。

アメリカ滞在中にあなたが一度アメリカ国外へ出て、その後、再びアメリカに入国する際には、有効な入国査証(ビザ)を持っていることが要求されます。有効な入国査証(ビザ)がないと、飛行機には乗れません。搭乗前のチェックインカウンターで止められます。

あなたがアメリカを出国するときには、空港で航空会社の係員が、Immigration Office,USCIS(市民権移民サービス局)(通称:イミグレーション)に通知します。

入国査証(ビザ)の有効期限と在留期限(書式I−94の有効期限)とが一致することはまれです。通常、アメリカ大使館の領事の発行する「入国査証(ビザ)の有効期限」と空港の入国審査官が与える「アメリカに滞在できる期限」とは同一ではありません。例えば、E−2ビザの有効期限は5年間です。しかし、書式I−94の有効期限は2年間です。有効期限が「D/S」と書式I−94に記入された場合、これは Duration of Status という意味です。つまり、この「D/S」は、あなたが学生や研究者としての資格を保持している期間に限り、アメリカに滞在できるということです。学業や研究を中断した場合、日本に帰国しなければなりません。

従って、5年間数次有効な入国査証(ビザ)を持っているということは、5年の間に何度でも入国の申し込みができるというだけの意味で、決して「5年間アメリカに滞在できる」という意味ではありませんので、注意してください。

ビザコンサルタント 船曳信行


船曳ビザ事務所  Email: america-visa@gaia.eonet.ne.jp

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